きびたの気持ち
今日はちい姉ちゃんが遊びに来た。
おかあさんの子どもは、ボクのほかにも
大きいお姉ちゃん、兄ちゃん、ちい姉ちゃんがいる。
子どもなんだけどもう大きいから、
みんなお仕事をしていて
おかあさんとは離れて暮らしている。
みんな、ボクには優しい。
みんなのことが大好きなのに、
なかなか会えないのは、ボクは寂しい。
ちい姉ちゃんは、うちに来ると
「かわいいです~」
「ちょっと吸わせてちょうだいな」って
嬉しそうにボクのお腹に顔をくっつける。
人間は、どうして猫を見ると
おなかに吸いついてくるの??
…まあ、いいけどね。
ちい姉ちゃんが、
チリンって音のなる『鈴』に
『もこもこ』が一緒についた
すてきなおもちゃを買ってきてくれた。
プロレスごっことか
かくれんぼとか、
楽しい遊びもいっぱいしてくれるから
ボクはすごくうれしい。
なのに…
「また来るからね」
って言って、帰っちゃう。
こんな日は、ボクは返事をしない。
ちょっと怒ってるから。
おかあさんは「お仕事があるからね」
っていうけどさ…。

ちい姉ちゃんが帰った次の日の朝
部屋にあるおもちゃ箱を開けて
もらったおもちゃを口にくわえた。
チリン、チリンって鳴らしながら、
ものすごく頑張って
おかあさんのベッドまで運んだ。
歩くたびに紐が引っかかって、
運ぶのはとっても大変だったんだ。
なのに、おかあさんは目を覚まして
「クックッ…」って笑い出した!
おかあさんは寂しくないの?
本当にみんな、また来るの?
「お給料が出たら、
きびたに新しいオモチャとおやつを
買ってあげたいんだって。
きびたに会うのを楽しみにして
頑張ってお仕事しているんだよ」
っておかあさんが言った。
…そういうことなら、しかたないか。
ボクも大人だからね。
今度来たらまた、
みんなとはたくさん
遊んであげよう!
明日もいい日になりますように。