3月〇日 晴れ
今日はちい姉ちゃんが遊びに来た。
おかあさんの子どもは、ボクのほかにも
大きいお姉ちゃん、兄ちゃん、ちい姉ちゃんがいる。
子どもなんだけど、もう大きいから、
みんなお仕事をしていて、おかあさんと離れて暮らしている。
みんな、ボクに優しい。
こんなに大好きなのに、なかなか会えないのは寂しい。
ちい姉ちゃんは「ちょっと吸わせてちょうだいな~」
「かわいいねえ!」と
嬉しそうにボクのお腹に顔をくっつけてくる。
人間は、どうして猫を見ると吸いついてくるの??
…まあ、いいんだけどね。
ちい姉ちゃんが、チリンって音のなる『鈴』っていうのと、
大好きなもこもこが一緒についた、おもちゃを買ってきてくれた。
プロレスごっことか、かくれんぼとか
楽しい遊びもいっぱいしてくれるから、ボクはうれしい。
なのに「また来るからね」って言って、帰っちゃう。
こんな日は、ボクは返事をしない。ちょっと怒ってるから。
おかあさんは「お仕事があるからね」っていうけどさ…。

ちい姉ちゃんが帰った次の日の朝、
隣の部屋にあるおもちゃ箱を開けて、
もらったおもちゃを口にくわえて、
チリン、チリンって鳴らしながら、
ものすごく頑張っておかあさんのベッドまで運んだ。
歩くたびに紐が引っかかって、ここまでとっても大変だったんだ。
なのに、おかあさんは目を覚まして「クックッ…」って笑い出した。
お母さんは寂しくないの?本当にみんな、また来るの?
「来るときはさ、きびたに新しいオモチャやおやつを買ってあげたくて。
寂しいけど、会うのを楽しみにして、みんな頑張って働いているんだよ」
っておかあさんが言った。
…そういうことなら、まあ、しかたないか。
ボクも大人だから。今度また、みんなと遊んであげようと思う。
明日もいい日になりますように。